ご案内

身体に障害をもった人たちも、パソコンさえ使えれば、在宅で仕事ができる。お客を囲い込む飲食店やパンの製造小売店のような地域に密着した中小企業にとって、インターネットはあまり関係がないように思われるかもしれない。
そば店が麺やそば粉をウェブショップで販売することはできても、全国に出前をするわけにはいかないからだ。
クリック・アンド・モルタルしかし、そういう小売店でも、インターネットは使い方しだいで売上げを伸ばす道具になる。たとえば、いくつものレストランが、インターネットを使って割引券を発行している。ホームページ内に割引券をつくり、お客はそれをダウンロードして使うのだ。
いま、インターネット検索して見つけたホームページに割引券があれば、その店を知っている人も知らない人も「ちょっと行ってみようか」という気になる。
新聞の折り込み広告に割引券をつけるレストランチェーンはよくあるが、年に何回も広告を入れるとなれば、当然何十万円もの費用がかかる。
だが、インターネットなら、ほとんど経費をかけずに同じサービスを1年中行える1クリックインタ一ネットの画面を操作するに当たって、パソコンに取り付けたマウス(ねずみのような形をした操作装置)のボタンを押すことをクリックと呼ぶ。
このようにホームペ一ジで広告し、リアルのお店に客を集める手法をアメリカでは、「デリック・アンド・モルタル」という。
リアルの店舗を「プリッグ・アンド.モルタル(レンガとしっくい)」と呼ぶが、これをもじったものだ。
自動車や不動産の販売サイトがインターネット上で急成長しているが、これも「クリック・アンド・モルタル」だ。
どちらもインターネットただし、ホームページを販促の手段にするには、サーチエンジンに登録したり、インターネット広告を出したりするだけではだめだ。サイバーエージェン-の藤田社長は、「包装紙、カレンダー、マッチ、看板、名刺、レシートなど、リアルの世界でもお客の目にふれるあらゆるところにホームページのアドレスを書-ことが必要だ」と言う。
知っているお店にホームページがあることがわかれば、たいていの人は見てみようと思うし、そこで割引やプレゼン-などお得な情報が見つかれば、繰り返しホームページを見るようになる。
そうなってようや-ホームペ一ジは地域密着型の中小企業にとって、効率的な販促手段として定着する。
メ一ルを使って来店頻度を増やす得意客に電子メールのアドレスを教えてもらえばメールを使った販促もできる。
レストランなら、「新しいメニュー用意しました」「ボジョレー・ヌーボー先着10名様にプレゼント」といったメールを送り、来店を誘うことができる。
来店頻度を二倍にできれば、売上げも二倍になる。
売上げを増やす方法は、新規顧客の開拓だけではないのだ。
クリック・アンド・モルタル店舗や倉庫を必要とする従来型ビジネスの「古さ」を表す「ブリックス・アンド・モルタル(レンガとしっくい)」をもじった言葉。インタ一ネットと店舗の両方を活用する「新しい」ビジネスのスタイルを表す。
メールを送る場合には、1律ではなく、お客によって異なるメールを出したほうがより効果的だ。
たとえば、ブティックなら「先日お買い上げいただいたスーツによく合う帽子が入荷しましたが、いかがでしょ-か」とお客に提案したり、書店なら「〜先生の新作が来月発売になります」とお客のお気に入りの作家の新刊を案内したりといった具合にだ。
このようなマーケティングを行うには、顧客の個人情報や購買歴を記録したデータベースを作成することが必要だ。あの商品を買ったのはだれかとか、いつもこの作家の本を買うのはだれかといったことが簡単にわからなければ、一人ひとりのお客に合った提案などできないしその都珪一調べるのではなく、お客の購買履歴からニーズを予測し、自動的に提案するソフトもある。アメリカのアマゾン・ドッ-コムのものが有名だ。
リコメンデーション・エンジンは、まだ精度に問題があって、見当はずれの推薦をすることもあるが、管理するお客の数が多い場合にはけっこう便利だ。アウ-ドア用品「ナチュラム」の中島社長は「的確なリコメンデーションができるエンジンがあるということは優秀な店員がお客の数だけいるというのと同じだ」と言う。
「ナチュラム」では、リコメンデーション・エンジンを使って自動的に商品を推薦したり、新製品を紹介するメールを送ったりするシステムを導入する予定だ。
ワン・トゥ・ワン一対一で。
ワン・トウ・ワンマーケテイングでは、20代の男性といったように、一般的な顧客で戦略を考えるのではなく、一人ひとりの顧客のニーズに合った、きめ細かい対応をしていくことが諌められる。インターネットを使った顧客の円い込みどの企業でも新しいお客を開拓することは大切だが、下請けの製造業や卸売業などでは納品のスピードアップや経費の削減も重要なことだ。
オンラインでのデ一タ交換でミスが減る富山県砺波市の北口生は、プラスチック製品を金型から成型まで生産している。
携帯電話の琵体など忙しい分野もあるが、アジアに流れていくものも多く、競争は厳しい一。
受注先から求められることはつねに、「より速く、より安く」つくることだ。
そのために、北星ではインターネットを使って、受注先と加工データをやりとりしている。
具体的には、まず受注先から三次元。ADで作成した設計データをインターネットで送ってもらう。これに金型の製造や射出成型に必要な修正を加え、受注先に返す。
受注先は、デザインや内部の構造を検討して、また北日生に渡す。
北星はそのデータをまた検証していく。
こうしてKが出たデータは、そのまま金型の加工データになる。
九五年くらいまでは、製品の設計データは紙の図面でもらうことが多かった。このやり方だと設計図を見て金型の加工図面を新たに起こさなければならない。手間もかかるし、図面の見落としが生じるおそれもある。
受注先は、必ずしも金型や射出成型に精通しているわけではないから、金型がつくれないデザインをしているかもしれない。
これらはみな、生産までのリードタイムを長くし、余計なコストを増やす。受注先も北星も設計や加工をパソコンで行っているのだから、紙の図面をやめてデジタルデータをやりとりすれば、ミスも減るし時間も節約できる。
インターネットなら、遠-離れた受注先ともリアルタイムでデ一タをやりとりでき、宅配便や郵便を使って図面を送るよりコストも安い。
インターネットを利用することで、受注先、北星ともに生産性が上昇したのである。広告・求人活動にも手が出せる小さな企業にとって、広告や求人活動は金がかかって手が届かない分野だ。効果がどれくらいあるかが事前にわかるのであれば、多少料金が高くても発注できる。
でも現実は、数十万円の掲載料を払って広告しても、問い合わせすらないことのほうが多い。
企業のホームページは、それ自体が広告・宣伝の役割を果たす。
会社案内のホームページくらいなら、独力でつくることもできる。
作成ソフトは一万円程度のもので十分。
専門の業者に頼んでも、二〇-三〇万円でけっこう立派なものができる。
もちろん、求人にも利用できる。
求人誌に掲載する場合とちがい、紙幅の制約を気にせず、就職希望者に経営者の夢や事業の中身を説明できる。

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